沈んでいく
スキューバダイビングで海の中を泳いでいる時、海況が悪くて魚や地形に見入っているわけでもない時でも、余計な思考は入り込んでこない。
息を吸って吐く。その繰り返し。
はぐれないように、酸素量を確認しながら、万が一にも死なないように。
生命の危機を少しでも感じる時意識はそこへ集中する。
SMプレイの最中も同じようなことが起きてるのかもしれない。
窓から暗い部屋へ入り込む日の光を見ながら、海の中みたいだなと思った。
よくプレイ中に浮遊する、と書いているけど、その日は沈んでいく印象だった。深いところへ沈んでいく。光が遠くなって行って、深い青になっていく。
呻き声が響く。
やっぱりここも異世界で、二人しかいない。もっと沈んでいったら、もっと隔絶された二人だけの世界になるだろう。
「ルイ子様に、溺れました。」
やっぱり。水の中にいた。
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