ある現象 A Phenomenon /Ruiko
先日、お尻に向かって、二つの拳を押し込んでいた時。 両方の甲に骨の硬さを感じながら、そこを拡げていくと、「ああ、苦しい」というマゾの声が聞こえた。 その声を聞いたら急に、今ここに生きているな、と感じて、涙が滲んできた。 そんなところにそんなものを入れようとしているのだから、苦しくて当たり前である。そんなことをやる必要はないのだ。 それなのに、それをしている。そして、悲鳴を上げている。 客観すると、喜劇だ。 その目線も私の中にある。 それなのに、その場にいる私は喜劇の目線を含めて、寧ろそれがあるからこそ、我々のことが愛おしく感じているのだった。 感触、声、震え、伝わる温度。 更に力を前に進める。 マゾの体が体ごと前に少し移動する。 私の手は入っていって、骨の硬さを抜けると、呆気なく奥に入り込んでふわりと包まれる。 「苦しいけど、嬉しい。」 と聞こえる。 私はその言葉を、日常生活で聞く様々な言葉よりも、真実だと感じている。 身体から、塊が喉を通る時に自然に言葉に変わってこの空間に出てきたようだ。 私はそれに何も返事をしない。 喉で作った言葉なら吐きたくないからだ。溢れてしまう、吐き出してしまう言葉のみをここでは使いたいからだ。 プレイの終わり、全ての縄を解いて、私が犯していたディルドも抜くと、「帰って来たくない。」と言われた。 ここは別の場所。 同じ感覚が嬉しかった。 私は、頷いた。 それから、見つめ合ったり、空を見たりして呆然としてから 「帰ってこないと。」 と、言った。 それでもまだ完全には戻れない時間の中で、私たちは元にゆっくりと戻っていった。 The other day, when I was pushing both of my fists into his ass, feeling the hardness of bone against the backs of my hands as I spread him open, I heard the sub’s voice say, “Ah… it hurts.” Hearing that voice, I suddenly felt that I was alive, here and now, and tears welled up in my eyes. Of course it hurts. I am...